オール電化リフォームは、光熱費の削減や暮らしの安全性向上など、様々なメリットがある一方で、適切な計画と準備が必要な大規模な工事です。
一般的な工事費用は60~120万円が目安となりますが、設備の選択や工事の規模によって大きく変動します。また、補助金制度を活用することで、初期費用を抑えることも可能です。
この記事では、オール電化リフォームの費用相場はもちろん、メリット・デメリット、注意点、電気代節約のコツまで、導入を検討している方に必要な情報を徹底的に解説します。後悔のない選択のために、ぜひ参考にしてください。
「オール電化におすすめの電力会社をランキングで知りたい。」 「そもそも、オール電化向けの電力プランにはどういった特徴があるだろう?」 「オール電化向けの電力会社の選び方も知りたい」 本記事では、オール電化におすすめの電力 […]
続きを読む※クラシェルジュは、商品を公平かつ中立的に紹介し、評価には影響を与えません。これは当サイトが設定したコンテンツポリシーに従ったものです。
この記事の目次
オール電化住宅とは?基本を理解しよう
住宅のエネルギー源を考えるとき、多くの方がガスと電気の併用を思い浮かべるのではないでしょうか。一般的な住宅では、調理にはガスコンロ、給湯にはガス給湯器を使用し、照明や家電製品に電気を使うというのが一般的です。
これに対してオール電化住宅は、調理機器・給湯器・空調機器といった生活に必要なすべての設備のエネルギーを電力でまかなう住宅システムです。近年では環境への配慮や省エネへの関心の高まりから、新築やリフォームでオール電化を選択する家庭が増加しています。
オール電化住宅の大きな特徴は、光熱費の一本化と省エネ効果です。特に深夜電力を活用することで、一般的に5~7年程度で設置費用の回収が可能とされています。また、火を使用しないため安全性が高く、室内の空気も清潔に保ちやすいというメリットがあります。
初期費用は決して安くはありませんが、長期的な視点で見ると家計にもやさしい選択肢といえます。この章では、オール電化住宅の基本的な仕組みと、必要となる主要設備について詳しく解説していきます。
オール電化住宅の仕組みと特徴
オール電化住宅では、従来のガスや灯油に替わって電気がエネルギー源となります。一般的な住宅との最も大きな違いは、熱源をすべて電気でまかなう点です。たとえば寒冷地の一般住宅では、灯油タンクを設置して給湯器やボイラーを使用することが一般的ですが、オール電化住宅ではそれらをすべて電気で代替します。
オール電化住宅の主な特徴は以下の通りです。
- エネルギー源が電気に一本化され、請求も電気代のみとなる
- 深夜電力を効率的に活用できる設計となっている
- 火を使わないため火災リスクが低減される
特に注目すべき点は、深夜電力の活用です。深夜電力は通常の電力料金と比べて割安に設定されており、この時間帯に温水を沸かして貯めておくことで、電気代を効果的に節約できます。
また、最新のオール電化システムは高度な制御技術を採用しており、エネルギーの無駄を最小限に抑えることができます。たとえばエコキュートは大気中の熱を利用して効率的に温水を作り出し、IHクッキングヒーターは必要な部分だけを直接加熱することで熱効率を高めています。
さらに、太陽光発電システムとの相性も抜群です。昼間に太陽光で発電した電力を使用し、夜間は割安な深夜電力を活用するという、理想的なエネルギー利用が可能となります。このように、オール電化住宅は環境にも家計にも配慮した、現代のライフスタイルに適した住まいのかたちといえます。
オール電化に必要な3つの主要設備
オール電化住宅を実現するためには、主に3つの重要な設備が必要です。それぞれの設備が従来のガス機器や灯油機器の役割を電気で代替し、快適な暮らしを支えています。以下では、各設備の基本的な機能と特徴について説明していきます。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターは、電磁誘導加熱(Induction Heating)の原理を利用した調理機器です。本体表面のトッププレートに置かれたIH対応の調理器具を、電気で発生させた磁力で直接加熱します。火を使わないため安全性が高く、熱効率も優れています。
従来のガスコンロと異なり、火を使わずに加熱できることが最大の特徴です。温度調節も本体のボタン操作で細かく設定でき、デジタル制御による正確な温度管理が可能です。また、トッププレートが平らなため掃除が簡単で、キッチンを清潔に保ちやすいというメリットもあります。
エコキュート(電気温水器)
エコキュートは、ヒートポンプ技術を活用した高効率の給湯システムです。大気中の熱を利用してお湯を沸かすため、投入した電気エネルギーの3~4倍の熱エネルギーを得ることができます。システムはヒートポンプユニットと貯湯ユニットの2つで構成されています。
ヒートポンプユニットで大気中から熱を集め、その熱を圧縮機で更に高温にします。この熱を利用して貯湯ユニット内の水を温め、作られたお湯は台所、洗面所、お風呂など家中の給湯に使用されます。深夜電力を利用してお湯を沸かし貯めておけるため、電気代の節約にも効果的です。
温水式電気床暖房・蓄熱暖房機
温水式電気床暖房は、電気で温めた温水を床下に張り巡らせたパイプに循環させる暖房システムです。足元から室内全体を均一に暖める特徴があり、快適な暖房環境を実現します。また、ホコリを巻き上げにくいため、アレルギー対策としても効果的です。
蓄熱暖房機は、深夜電力を利用して蓄熱材を温め、昼間にその熱を放出して暖房する仕組みです。電気代の安い深夜時間帯に熱を蓄え、必要なときに利用できるため、経済的な暖房方式として注目されています。これらの暖房設備は、それぞれの家庭のニーズや住宅の構造に応じて選択することができます。
オール電化リフォームの費用相場を詳しく解説
オール電化リフォームは、従来のガス設備から電気設備への大規模な切り替え工事となります。工事の規模が大きいため、予算計画を立てる際には総費用と各設備の費用を正確に把握しておくことが重要です。
オール電化リフォームでは、IHクッキングヒーター、エコキュート、床暖房などの主要設備の導入が必要となり、総費用は約60~120万円が目安となっています。この費用には、既存設備の撤去費用、新規設備の購入費用、工事費用などが含まれます。
設備ごとの費用を見ると、IHクッキングヒーターは15~30万円程度、エコキュートは50~85万円程度、床暖房は面積によって30~110万円程度と、それぞれ大きな費用がかかります。ただし、これらの設備を個別に導入するよりも、まとめて工事を行うことで工事費用を抑えられる場合が多いです。
また、オール電化リフォームの際には電気工事も必要となります。特に200V電源の引き込み工事は必須となるため、この費用も考慮に入れる必要があります。以下では、各設備の具体的な費用内訳について詳しく解説していきます。
オール電化リフォームの総費用相場
オール電化リフォームの総費用は、一般的な戸建住宅の場合、標準的な工事で約60~120万円、中心価格帯は約100~200万円となっています。この費用は、設備の選択や工事の規模によって大きく変動する可能性があります。
総費用に影響を与える主な要因として、以下のようなものが挙げられます。
- 既存設備の撤去・処分費用
- 新規設備の購入費用
- 電気工事費用(配線工事・分電盤の交換など)
- 設置工事費用
これらの費用は、住宅の状況や選択する設備によって変動します。例えば、古い住宅で配線工事が大規模になる場合や、高機能な設備を選択する場合は、費用が上振れする可能性があります。
また、工事をまとめて行うことで、個別に工事を行うよりも総費用を抑えられる場合が多いです。特に、電気工事は共通部分が多いため、まとめて行うことでコストを最適化できます。
なお、オール電化リフォームと合わせて太陽光発電システムを導入する場合は、別途150~320万円程度の追加費用が必要となります。ただし、これにより電気代の削減効果が期待できるため、長期的な視点での検討が重要です。
IHクッキングヒーターの設置費用
IHクッキングヒーターの設置には、合計で約15~30万円の費用が必要です。この費用は、機器の購入費用と工事費用に大きく分けられます。機器の性能や工事の複雑さによって、実際の費用は変動する可能性があります。
設置工事では、既存のガスコンロの撤去に始まり、電気配線工事、IHクッキングヒーターの設置まで、複数の工程が必要となります。特に重要なのは電気工事で、従来のガスコンロと異なり、200V電源の確保が必須となります。
また、IHクッキングヒーターの設置に伴い、以下のような追加工事が必要になる場合もあります。
- 分電盤の交換または増設工事
- キッチンカウンターの改修工事
- ガス配管の撤去・封鎖工事
これらの追加工事が必要な場合は、基本的な設置費用に上乗せとなるため、事前の確認が重要です。
IHクッキングヒーターの機器代
IHクッキングヒーター本体の価格は、約10~20万円が一般的な相場となっています。価格帯は機種によって大きく異なり、基本的な機能のみの製品から、多彩な調理機能を搭載した高機能モデルまで、幅広い選択肢があります。
機器の選定には、調理スペースの広さ、必要な火力、安全機能の有無などを考慮する必要があります。特に、調理頻度が高い家庭では、十分な火力と使いやすい操作性を備えた機種を選ぶことが推奨されます。
IHクッキングヒーターの工事費用
IHクッキングヒーターの工事費用は、約5~10万円が標準的な相場です。この費用には、既存のガスコンロの撤去・処分費用、電気配線工事、本体の設置工事などが含まれています。
工事費用は、住宅の状況によって大きく変動する可能性があります。特に配線工事の規模や、キッチンの改修の必要性によって、追加費用が発生することがあります。また、分電盤の交換や増設が必要な場合は、別途費用が必要となります。
エコキュートの設置費用
エコキュートの導入には、総額で約50~85万円の費用が必要となります。この費用には、本体価格と設置工事費用が含まれており、家族の人数や使用するお湯の量によって適切な容量を選ぶ必要があります。
エコキュートのタンク容量は、以下のように世帯人数に応じて選択します
- 2~4人世帯向け:300Lタイプ
- 3~5人世帯向け:370Lタイプ
- 6人以上の世帯向け:400~500Lタイプ
さらに、エコキュートには機能の違いによっても価格差があります。給湯専用タイプからフルオートタイプまで、約10万円程度の価格差が生じます。機能が充実するほど快適性は向上しますが、その分費用も増加する傾向にあります。
また、エコキュートの設置には200V電源が必要となるため、電気配線工事も重要な工程となります。既存の給湯器の撤去から新設工事まで、複数の工程が必要となるため、工事の内容をしっかりと確認することが重要です。
エコキュートの機器代
エコキュートの本体価格は、標準的な370Lタイプで約40~70万円となっています。価格差は主にタンク容量と機能の違いによって生じます。一般的な3~5人世帯向けの370Lタイプを基準に、容量が大きくなるほど価格も上昇します。
機能面では、給湯専用タイプが最もシンプルで価格も抑えめですが、自動湯はり機能やその他の便利機能を備えたフルオートタイプは、より快適な生活を実現できる一方で価格も高くなります。選択の際は、日常生活での使用シーンを想定しながら、必要な機能を見極めることが大切です。
エコキュートの工事費用
エコキュートの工事費用は、約10~15万円が標準的な相場です。この費用には、既存の給湯器の撤去・処分、配管工事、電気工事、本体の設置工事などが含まれています。ただし、設置場所の状況や工事の複雑さによって、この金額は変動する可能性があります。
工事では特に、既存の給湯配管の活用可否や新規配管の必要性、電気容量の確保など、様々な要因を考慮する必要があります。また、設置場所の確保も重要で、室外機とタンクユニットの両方を設置するスペースが必要となります。
床暖房の設置費用
床暖房の設置費用は、施工面積や方式によって大きく異なり、6畳の場合で電気式が約30~55万円、温水式が約35~65万円となっています。一般的に、温水式の方が電気式よりも1畳あたり1~2万円程度費用が高くなる傾向があります。
床暖房のシステムは、電気式と温水式に大きく分かれており、それぞれに特徴があります。
- 電気式:蓄熱式、PTCヒーター式、電熱線式の3種類
- 温水式:ヒートポンプ式(エコキュートと同様の仕組み)
選択にあたっては、部屋の広さ、使用頻度、他の暖房設備との組み合わせなどを総合的に検討する必要があります。また、既存の床材の状態や工事の難易度によっても、費用は大きく変動する可能性があります。
電気式床暖房の機器代
電気式床暖房の機器代は、6畳の場合で約20~35万円が目安となります。価格は主に施工面積と選択するシステムの種類によって変動します。蓄熱式は初期費用は比較的高めですが、深夜電力を利用できるためランニングコストを抑えられます。一方、PTCヒーター式は温度自動調整機能があり、より細かな温度管理が可能です。
床暖房の工事費用
床暖房の工事費用は、6畳の場合で約10~20万円が標準的な相場です。この費用には、床材の撤去・張替え、配線工事、熱源機器の設置工事などが含まれます。特に既存の床材を撤去して新しい床暖房システムを導入する場合は、床材の選定や施工方法によって費用が変動します。
工事の際は、断熱材の施工や防音対策なども考慮する必要があります。また、room to roomの熱移動を防ぐための工夫も重要で、これらの追加工事が必要な場合は、費用が増加する可能性があります。
オール電化のメリット10選
オール電化リフォームは、初期費用は決して安くはありませんが、暮らしの質を大きく向上させる様々なメリットがあります。省エネ・節約効果はもちろん、安全性の向上や災害時の対応力強化など、多角的な観点から住まいの価値を高めることができます。
特に近年は、環境への配慮や省エネへの関心が高まる中で、オール電化住宅の持つエネルギー効率の良さや環境負荷の低さが注目されています。また、最新の電化製品は高度な制御技術を採用しており、快適性と省エネ性を両立しています。
さらに、太陽光発電システムとの組み合わせによる相乗効果や、火災保険料の割引など、経済的なメリットも見逃せません。以下では、オール電化リフォームがもたらす10個の主要なメリットについて、具体的に解説していきます。
光熱費の削減が期待できる
オール電化住宅では、全ての設備を電気で賄うため、一見すると電気代が高額になるように思えるかもしれません。しかし、実際には従来のガスと電気を併用する住宅と比べて、年間で約3万円程度の光熱費削減が期待できます。
総務省統計局の家計調査によると、ガスや灯油を併用している住宅の「電気・ガス・灯油」の年間平均額は約23万3千円なのに対し、オール電化住宅の電気代の年間平均額は約19万円となっています。世帯人数別の月額光熱費の目安は以下の通りです。
- ひとり暮らし:約11,222円
- 2人家族:約14,049円
- 3人家族:約15,588円
- 4人家族以上:約17,416円
この削減効果の主な要因は、エコキュートなどの高効率機器の採用と、深夜電力の活用にあります。特にヒートポンプ技術を使用したエコキュートは、投入した電気エネルギーの3~4倍の熱エネルギーを得ることができ、従来の電気温水器と比べて約3分の1の電気代で済むとされています。
光熱費の支払いが一本化
オール電化住宅では、すべてのエネルギーを電気で賄うため、毎月の光熱費の支払いが電気代のみに一本化されます。これにより、家計管理がより簡単になり、支出の把握や節約対策が立てやすくなります。
一般的な住宅では、電気とガスそれぞれに基本料金が発生しますが、オール電化住宅では電気の基本料金のみとなります。電気は60A契約が一般的で基本料金は高めになりますが、それでもガスと電気の2つの基本料金を支払うよりも総額は抑えられることが多いです。
また、前月や前年同月との使用量や料金の比較が容易になるため、無駄な電力消費の発見や省エネ対策の効果確認がしやすくなります。これにより、より効率的な電力使用の計画を立てることができ、さらなる光熱費の削減につながります。
深夜電力でさらにお得に
電力会社は夜間の電気料金を日中より割安に設定しているため、この深夜電力を効果的に活用することで、さらなる光熱費の削減が可能です。特にエコキュートは、深夜に温水を沸かして貯めておくことができるため、この料金メリットを最大限に活かすことができます。
深夜電力の活用方法として、以下のような運用が効果的です。
- エコキュートでの深夜の湯沸かし
- 蓄熱式床暖房での深夜の蓄熱
- 食洗機や洗濯機の深夜運転
ただし、近年は夜間と日中の電気料金の差が以前ほど大きくない傾向にあります。それでも、生活スタイルに合わせて深夜電力を上手に活用することで、一定の節約効果を得ることができます。特に、電力需要の少ない深夜時間帯に温水を作り貯めておけるエコキュートは、この深夜電力の利点を最大限に活かせる設備といえます。
火災リスクの低減
オール電化住宅では火を使用しないため、従来のガスコンロ使用時と比べて火災のリスクが大幅に低減されます。特にIHクッキングヒーターは、火を使わずに調理ができるため、調理中の衣服への引火や、コンロの消し忘れによる火災などの心配がありません。
火災予防の観点から見ると、IHクッキングヒーターには以下のような安全機能が備わっています。
- 鍋検知機能:鍋を載せていない時は加熱しない
- 切り忘れ防止機能:一定時間経過すると自動停止
- 温度過昇防止機能:異常な高温を感知すると停止
ただし、電気機器による発熱や、コンセントのトラッキング現象など、電気に起因する火災リスクは完全にはなくならないため、適切な使用と定期的な点検は必要です。それでも、従来のガス機器と比べると、火災リスクは大幅に低減されます。
室内の空気環境が改善
オール電化住宅では、ガスの燃焼による室内空気の汚染や、不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクを大幅に軽減できます。特にキッチンでは、ガスコンロを使用した場合に発生する二酸化炭素や水蒸気による空気の汚れがなくなり、より清潔な環境を保つことができます。
室内の空気環境改善は、以下のような点で居住者の健康と快適性に寄与します。
- アレルギー症状の軽減
- 室内の結露防止
- キッチンの温度上昇抑制
また、IHクッキングヒーターは熱効率が約90%と高く、調理時の無駄な熱の発生が少ないため、キッチンの温度上昇も抑えられます。これは特に夏場の調理時の負担軽減につながります。
災害時の電気復旧が早い
自然災害などでライフラインが停止した場合、電気は比較的早期に復旧する傾向にあります。実際の災害事例を見ても、電気→水道→ガスの順で復旧するケースが多く報告されています。
過去の大規模災害における復旧状況を見ると、その特徴が顕著に表れています。例えば、2011年の東日本大震災では、停電した850万世帯の電気は約1週間で復旧しました。一方、ガスの供給が停止した46万世帯の復旧には約5週間を要しました。
また、2016年の熊本地震の際も同様の傾向が見られ、電気は約1週間で復旧したのに対し、ガスの復旧には2週間以上かかっています。これは、電力インフラの復旧が比較的容易であることと、電力会社の災害対応体制が整備されていることによるものです。
エコキュートの貯水が非常時に活用可能
エコキュートの貯湯タンクは、災害時の貴重な水源として活用することができます。断水時でも、タンクに貯められた水を取り出すことが可能で、生活用水として利用できます。
エコキュートの貯水は、以下のような用途で活用できます
- トイレの洗浄用水
- 手洗いや清掃用の生活用水
- 入浴用の温水(電気が復旧している場合)
ただし、タンク内の水は飲用には適さないため、飲料水は別途確保する必要があります。また、災害時のエコキュートの使用方法はメーカーによって異なるため、平常時から使用説明書で確認しておくことが重要です。
太陽光発電との相性抜群
オール電化住宅は太陽光発電システムとの組み合わせが非常に効果的です。昼間は太陽光で発電した電気を使用し、夜間は割安な深夜電力を利用するという、理想的なエネルギー利用が可能となります。
太陽光発電との併用により、以下のようなメリットが期待できます。
- 電気代のさらなる削減
- 環境負荷の低減
- 災害時の電力確保
また、発電量と使用量のバランスが良ければ、光熱費をゼロに近づけることも可能です。ただし、太陽光発電システムの導入には高額な初期費用が必要となり、投資回収には5~7年程度かかることを考慮する必要があります。
火災保険料の割引特典
オール電化住宅は火災リスクが低いことから、火災保険料が割引になるケースがあります。例えば、セコム損保の場合、7~17%の割引が適用される場合があります。
ただし、この割引を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 住宅のオール電化を証明する書類の提出
- ガスストーブなどの併用がないこと
- 保険会社が定める条件への適合
なお、2010年の法改正により、オール電化割引を提供する保険会社は減少傾向にあります。割引の適用を希望する場合は、加入を検討している保険会社に事前に確認することをお勧めします。
キッチンの掃除が楽になる
IHクッキングヒーターは、トッププレートが強化ガラスでできた一枚板のフラットな構造となっているため、従来のガスコンロと比べて格段に掃除がしやすくなります。吹きこぼれなどの汚れも、サッと拭くだけで簡単に落とすことができます。
IHクッキングヒーターの掃除のメリットは以下の通りです。
- 凹凸がないため汚れが溜まりにくい
- 油汚れが飛び散りにくい
- メラミンスポンジなどで簡単に汚れが落とせる
また、火を使わないため、五徳(ごとく)や周辺部分の油汚れや焦げ付きも発生しません。これにより、日々のキッチン掃除の手間が大幅に軽減され、清潔なキッチン環境を保ちやすくなります。
オール電化の注意点とデメリット6つ
オール電化住宅へのリフォームは、多くのメリットがある一方で、いくつかの重要な注意点やデメリットも存在します。これらは生活スタイルや家族構成によって、その影響度が大きく異なってくる要素となります。
特に重要なのは、電気料金プランと生活パターンの相性です。深夜電力を効果的に活用できない場合、想定以上の電気代がかかる可能性があります。また、調理器具の制限や停電時の対応など、日常生活に直接影響する要素についても、事前に十分な検討が必要です。
さらに、初期費用の負担や将来的なガス復帰の可能性など、長期的な視点での判断も重要になってきます。以下では、オール電化リフォームの主要な6つの注意点とデメリットについて、詳しく解説していきます。
家庭によっては電気代が増加
オール電化住宅の電気代は、生活スタイルによって大きく変動します。特に日中の電力使用が多い家庭では、想定以上の電気代がかかる可能性があります。これは、オール電化向けの電気料金プランが、主に夜間の使用を想定して設計されているためです。
電気代が増加しやすい生活パターンとして、以下のような例が挙げられます。
- 日中在宅時間が長い専業主婦(夫)世帯
- 在宅勤務が多い世帯
- 昼間に調理をする頻度が高い世帯
このような家庭では、深夜電力の活用が難しく、割高な日中の電力を多く使用することになります。オール電化住宅への移行を検討する際は、事前に電気使用パターンを分析し、リフォーム会社とともに電気代のシミュレーションを行うことが重要です。
また、地域によっても電気代の差が生じます。特に都市ガスが整備されていない地域では、プロパンガスと比較して電気代が割安になるケースが多いものの、都市ガスが利用可能な地域では、必ずしもオール電化が経済的とは限りません。
使用できる調理器具の制限
IHクッキングヒーターでは、使用できる調理器具が限定されることが大きなデメリットの一つです。一般的なIHクッキングヒーターでは、鉄やステンレス製の底が平らな鍋やフライパンしか使用できません。そのため、これまで愛用してきた調理器具の多くが使えなくなる可能性があります。
IHクッキングヒーターで使用できない主な調理器具には以下のようなものがあります。
- 土鍋や耐熱ガラス製の調理器具
- アルミ製の鍋やフライパン
- 底が丸い中華鍋
- 底に反りがある調理器具
近年では、アルミなどにも対応するオールメタル対応のIHクッキングヒーターも登場していますが、価格が高額になる傾向があります。また、これらの機器でも、従来の鉄やステンレス製の調理器具と比べて火力が弱くなりやすいという特徴があります。
特に和食や中華料理など、強火で手早く調理する料理の場合、ガスコンロのような瞬間的な強火が出せないため、料理の仕上がりに影響が出る可能性があります。新たな調理器具の購入費用も考慮に入れる必要があります。
停電時の不便さ
オール電化住宅の最大のデメリットの一つが、停電時にすべての機器が使用できなくなるという点です。通常の住宅であれば、停電時でもガスコンロで調理ができますが、オール電化住宅では調理も給湯も一切できなくなります。
停電時に影響を受ける主な設備には以下のようなものがあります。
- IHクッキングヒーター:調理が一切できなくなる
- エコキュート:温度調節や追い焚き機能が使用不可
- 床暖房:暖房機能が完全に停止
エコキュートの場合、タンク内に貯められているお湯は使用できますが、温度調節や追い焚きなどの機能は使えません。また、断水時には蛇口からの給湯も使用できなくなります。そのため、災害時に備えて、カセットコンロなどの代替熱源を用意しておくことが推奨されます。
ガスに戻す際の工事の手間
一度オール電化にした住宅を再びガス仕様に戻す場合、大規模な工事が必要になります。特に新築でオール電化住宅として建てられた場合、ガス配管自体が設置されていないため、配管の新設から必要となり、工事の規模と費用が大きくなります。
ガス仕様に戻す際に必要な主な工事には以下のようなものがあります。
- ガス配管の新設または再敷設工事
- 既存の電化製品の撤去工事
- ガス設備の設置工事
- キッチンの改修工事
このような大規模な工事が必要となるため、オール電化への移行を検討する際は、将来的なガスへの再移行の可能性も考慮に入れて判断する必要があります。特にマンションの場合、建物全体の構造上の制約から、ガスへの再移行が極めて困難なケースもあります。
火育の機会の減少
オール電化住宅では子どもたちが実際の火を目にする機会が大幅に減少します。これは安全性の観点からはメリットとなりますが、火の危険性や適切な扱い方を学ぶ機会が失われるというデメリットにもなります。
火育の観点で失われる主な学習機会には以下のようなものがあります。
- 火の性質や危険性の理解
- 火の取り扱いに関する基本的なスキル
- 火を使った調理の体験
これらの経験不足は、他所でガスコンロを使用する際の事故リスクにつながる可能性があります。そのため、家庭でのキャンプや野外活動などを通じて、意識的に火に触れる機会を設けることが重要です。
初期費用の負担大
オール電化リフォームの初期費用は、一般的なガス仕様の設備と比べて40~60万円ほど高額になります。これは、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの機器自体が高価であることに加え、電気工事や既存設備の撤去費用なども必要となるためです。
主な初期費用の内訳は以下の通りです。
- IHクッキングヒーター:15~30万円
- エコキュート:50~85万円
- 電気工事費:10~20万円
ただし、この初期費用は月々の光熱費削減によって徐々に回収することができます。特にプロパンガスを使用している地域では、ランニングコストの差額が大きいため、比較的早期の投資回収が期待できます。初期費用の検討時には、長期的な視点での費用対効果を考慮することが重要です。
オール電化と相性の良い設備機器
オール電化住宅の性能をさらに高め、より効率的なエネルギー利用を実現するためには、相性の良い設備機器との組み合わせが重要です。特に注目したいのが、太陽光発電システム、蓄電池、そしてV2H(Vehicle to Home)という3つの設備です。
これらの設備は、オール電化住宅の電気代負担を抑える効果があるだけでなく、災害時の電力確保という観点からも有効です。日中の太陽光発電による電力を効率的に活用し、余剰電力を蓄電池やEVに貯めて必要なときに使用することで、エネルギーの自給自足に近づくことができます。
また、これらの設備は互いに連携して機能することで、より大きな効果を発揮します。例えば、太陽光発電で作った電気を蓄電池に貯め、電気料金の高い時間帯に使用することで、電気代の削減効果を最大化できます。
以下では、それぞれの設備について、設置費用から具体的なメリットまで、詳しく解説していきます。
太陽光発電システム
太陽光発電システムは、オール電化住宅の電力を自給自足するための核となる設備です。屋根に設置した太陽光パネルで発電した直流電気を、パワーコンディショナーで交流に変換し、家庭内で使用できる電力として供給します。
システムの主な構成要素は以下の通りです。
- 太陽光パネル:太陽光を電気に変換
- パワーコンディショナー:直流を交流に変換
- 接続箱:パネルからの配線を集約
- 電力量計:発電量を計測
余剰電力は電力会社に売電することができ、FIT制度を利用すれば10年間は固定価格での買取が保証されます。これにより、設備導入の初期費用を徐々に回収していくことが可能です。また、停電時には自立運転モードに切り替えることで、必要最小限の電力供給を継続することができます。
設置費用の相場
太陽光発電システムの設置費用は、一般的な出力5kWの場合で約139~144万円が相場となっています。この費用には、太陽光パネル本体、パワーコンディショナー、架台、設置工事費用などが含まれます。
近年は技術の進歩や市場競争により、設置費用は徐々に下落傾向にあります。経済産業省の調査によると、出力1kWあたりの設置費用は、新築住宅で約28.8万円、既築住宅で約27.8万円となっています。施工業者による見積もり比較を行うことで、さらなるコスト削減の可能性もあります。
オール電化との組み合わせメリット
太陽光発電システムとオール電化の組み合わせには、大きく3つのメリットがあります。第一に、日中の電力を自給自足できることで電気代を大幅に削減できます。第二に、余剰電力の売電収入が得られます。第三に、災害時の電力確保が可能となります。
特筆すべきは、オール電化住宅の主要設備との相性の良さです。例えば、エコキュートは夜間に温水を作って貯めておくため、日中の太陽光発電による電力を他の用途に集中して使用できます。これにより、発電電力の効率的な活用が可能となります。
また、蓄電池やV2Hと組み合わせることで、さらなる活用の可能性が広がります。日中の余剰電力を蓄電して夜間に使用したり、電気自動車に充電して必要なときに給電したりすることができます。
蓄電池
家庭用蓄電池は、電力の需給バランスを最適化し、電気代の削減効果を高める重要な設備です。太陽光発電システムとの組み合わせはもちろん、単体でも深夜電力を活用した経済的な電力利用が可能となります。
蓄電池の主な用途としては以下が挙げられます。
- 太陽光発電の余剰電力の貯蔵
- 深夜電力の貯蔵と日中の使用
- 停電時のバックアップ電源
特に、オール電化住宅では電気料金プランが時間帯別に設定されているため、深夜の安価な電力を蓄電して日中に使用することで、より大きな経済効果を得ることができます。また、災害時のバックアップ電源としても活用できるため、防災面での安心感も高まります。
設置費用の目安
家庭用蓄電池の設置費用は、容量1kWhあたり約18.7万円が目安となっています。一般的な家庭向けの蓄電容量は3kWh~12kWhが主流で、システム全体の費用は約56.1~374万円となります。
費用は主に蓄電池本体の価格と施工費用で構成されており、容量が大きくなるほど費用も比例して上昇します。ただし、容量に応じて活用の可能性も広がるため、家族構成や電力使用パターンに合わせて適切な容量を選択することが重要です。
導入のメリット
蓄電池の導入は、電気代の削減、停電対策、再生可能エネルギーの有効活用など、多面的なメリットをもたらします。特にオール電化住宅では、電力の効率的な利用による経済効果が期待できます。
具体的には、電力料金の高い時間帯の使用を避け、安価な深夜電力を活用することで、月々の電気代を削減できます。また、太陽光発電と組み合わせることで、自家消費率を高め、さらなる経済効果を得ることができます。
V2H(Vehicle to Home)
V2Hは、電気自動車(EV)や次世代自動車を家庭用の蓄電池として活用できるシステムです。車載バッテリーに蓄えた電力を家庭で使用したり、逆に家庭の電力を車両に充電したりすることができます。
このシステムにより、以下のような活用が可能となります。
- 太陽光発電の余剰電力でEVを充電
- EVに蓄えた電力を家庭で使用
- 災害時の非常用電源として活用
特に注目すべきは、EVの大容量バッテリーを活用できる点です。一般的な家庭用蓄電池と比べて、より大きな容量の電力を蓄えることができ、長時間の電力供給が可能となります。
設置費用の目安
V2Hシステムの設置費用は、基本的なモデルで80万円台、高機能モデルで100~200万円台となっています。この費用は、本体価格(50~200万円)と施工費用(30~40万円)で構成されています。
実際の設置費用は、選択する機種の機能や、設置場所の状況、追加工事の必要性などによって変動します。また、ケーブルの長さや配線ルートによっても追加費用が発生する可能性があります。
活用方法とメリット
V2Hシステムは、日常的な電力の有効活用から災害時の非常用電源まで、幅広い活用方法があります。特に太陽光発電システムと組み合わせることで、より効果的な電力の自給自足が可能となります。
例えば、太陽光発電の余剰電力でEVを充電し、その電力を夜間に家庭で使用することで、実質的な充電コストをゼロに近づけることができます。また、大容量バッテリーを活用することで、停電時でも数日間の電力供給が可能となり、災害時の安心感も高まります。
オール電化リフォームの費用を抑えるコツ
オール電化リフォームは、大規模な設備投資を伴う工事となるため、できるだけ費用を抑えたいと考える方も多いでしょう。しかし、単に安価な設備や工事を選ぶだけでは、将来的な不具合やランニングコストの増加につながる可能性があります。
費用を適切に抑えるためには、補助金や助成金の活用、複数業者からの相見積もり、そして適切な機器選びという3つの要素が重要になります。特に国や自治体が提供する補助金制度は、初期費用の大幅な削減につながる可能性があります。
また、工事内容や機器の選定においても、現在の生活スタイルや将来的な需要を考慮しながら、最適な選択をすることで、無駄な支出を避けることができます。以下では、これらの費用削減方法について詳しく解説していきます。
各種補助金・助成金の活用
オール電化リフォームには、国や自治体が提供する様々な補助金や助成金制度を活用できる可能性があります。特に省エネ性能の高い設備の導入に対しては、手厚い支援が用意されていることが多いです。
主な補助金制度には以下のようなものがあります。
- 子育てエコホーム支援事業
- 給湯省エネ2024事業
- 自治体独自の補助金制度
特に子育てエコホーム支援事業では、エコキュートの導入に3万円/戸、蓄電池の導入に6万4000円/戸の補助金が設定されています。また、子育て世帯や若者夫婦世帯の場合は、補助金の上限額が引き上げられる特例もあります。
ただし、これらの補助金制度は予算に限りがあり、申請期限や予算上限に達した時点で終了となることが多いため、早めの情報収集と申請が重要です。また、一部の設備では複数の補助金制度を組み合わせて活用できる場合もあるため、詳細な確認が必要です。
エコキュート導入の補助金
エコキュート導入時には、給湯省エネ2024事業による基本補助額8万円/台の補助金が活用できます。さらに、機器の性能によっては最大5万円/台の性能加算額も付与される可能性があります。
エコキュートは省エネ性能の高い給湯器として認識されており、その普及を促進するために手厚い補助制度が設けられています。申請に必要な主な要件は以下の通りです。
- 既存住宅での設置であること
- 登録事業者による設置工事であること
- 指定された性能基準を満たす機器であること
これらの補助金を活用することで、高性能なエコキュートを比較的抑えた費用で導入することが可能となります。
太陽光発電の補助金
太陽光発電システムの導入には、地域によって異なる補助金制度が用意されています。例えば東京都では、設置する太陽光パネルの容量に応じて、3.75kW以下の場合は15万円/kW(上限45万円)、3.75kW超の場合は12万円/kW(50kW未満)の補助金が設定されています。
補助金の申請に際しては、以下の点に注意が必要です。
- 設置前の事前申請が必要な場合が多い
- 設置業者が補助金対象の登録業者である必要がある
- 設置する機器が基準を満たしていることの確認
また、太陽光発電システムとエコキュートを同時に設置する場合は、さらに優遇された補助金を受けられる場合もあります。このように、複数の設備を組み合わせることで、より効果的な補助金の活用が可能となります。
複数業者での相見積もり
オール電化リフォームでは、同じ工事内容でも業者によって見積もり金額に大きな差が生じる可能性があります。これは、業者によって仕入れ価格や工事方法、経費の計上方法が異なるためです。
相見積もりを取る際のポイントは以下の通りです。
- 最低でも3社以上から見積もりを取得する
- 工事内容や使用する機器を統一して比較する
- 見積もり項目の詳細な内訳を確認する
また、見積もり金額だけでなく、施工実績や保証内容、アフターサービスの充実度なども重要な比較ポイントとなります。単純な価格競争ではなく、総合的な観点から最適な業者を選定することが、長期的なコスト削減につながります。
適切な機器選びのポイント
オール電化機器の選定では、初期費用と運用費用の両方を考慮した総合的な判断が必要です。例えば、安価な機器を選択しても、電力効率が悪ければランニングコストが高くなり、長期的には不経済となる可能性があります。
機器選びで考慮すべき主なポイントには以下があります。
- 世帯人数や生活スタイルに合った容量選定
- 省エネ性能と電気代の関係
- メーカーのサポート体制と部品の供給期間
特にエコキュートは、貯湯容量の選定が重要です。過大な容量を選ぶと初期費用が高くなるだけでなく、余分な電力を消費することになります。一方、容量が不足すると、追い炊きなどで余分な電力を使用することになり、結果的にランニングコストが上がってしまいます。
また、IHクッキングヒーターについても、調理頻度や使用する調理器具の種類によって、必要な機能が異なってきます。過剰な機能は避け、実際の使用シーンに合わせた機種を選択することで、適切な費用設定が可能となります。
オール電化リフォーム前の重要確認事項
オール電化リフォームは住宅の設備を大きく変更する工事となるため、事前の入念な確認が必要不可欠です。特に重要となるのが、電気設備の確認、設置スペースの確保、そして実際の運用コストの試算です。
これらの確認を怠ると、工事費用の予想外の増加や、設備の設置ができない、運用時の電気代が想定以上にかかるなどの問題が発生する可能性があります。また、一度工事を始めてしまうと、途中での計画変更が困難になることも多いため、事前の確認は特に慎重に行う必要があります。
以下では、オール電化リフォームを成功させるために必要な主要な確認事項について、具体的に解説していきます。これらの項目を一つずつ丁寧にチェックすることで、スムーズな工事の実施と、快適なオール電化ライフの実現が可能となります。
電気容量の確認と工事
オール電化設備の多くは200V電源が必要となり、特にIHクッキングヒーターとエコキュートは必ず200V電源での接続が必要です。そのため、既存の電気設備が対応可能かどうかの確認が重要となります。
電気工事の規模は、現在の設備状況によって大きく異なります。
- 屋内配線のみの工事:1万円台
- 外部からの引き込み工事:5~20万円程度
- 分電盤の交換を含む工事:10~30万円程度
特に、現在の分電盤までの配線状況が重要です。100Vの電線が3本届いている場合は比較的容易に電圧を変更できますが、そうでない場合は外部からの引き込み工事が必要となり、工事費用が大幅に増加する可能性があります。
また、アンペアブレーカーの容量アップも必要となる場合が多く、一般的なオール電化住宅では60アンペア程度の契約が推奨されます。これにより基本料金は上がりますが、オール電化専用の割引プランを利用することで、総合的な電気代の削減が可能となります。
エコキュートの設置場所と容量
エコキュートは大型の設備であり、適切な設置スペースの確保が必須となります。一般的な機種でも奥行きが70cm以上あり、高さは2mを超えるものも珍しくありません。また、ヒートポンプユニットからの排熱や運転音も考慮する必要があります。
設置場所を検討する際の主なチェックポイントは以下の通りです。
- 設置スペースの十分な広さ(メンテナンススペースを含む)
- 隣家との距離と騒音への配慮
- 配管ルートの確保
特に住宅密集地では、設置スペースの確保が難しいケースも少なくありません。その場合は、薄型タイプや背の低いタイプなど、設置場所に合わせた機種の選定を検討する必要があります。また、メンテナンス時のアクセス性も重要な検討要素となります。
実際の電気代シミュレーション
オール電化住宅の電気代は、生活パターンによって大きく変動します。特にオール電化向けの電気料金プランは、時間帯によって料金が大きく異なるため, 家族の生活リズムと電力使用パターンの確認が重要です。
シミュレーションで考慮すべき主な要素には以下があります。
- 家族の人数と在宅時間
- 調理頻度と時間帯
- お風呂の使用パターン
深夜電力を効果的に活用できる生活パターンであれば、大幅な電気代削減が期待できます。一方で、日中の電力使用が多い場合は、想定以上の電気代がかかる可能性があります。このため、実際の生活パターンに基づいた詳細なシミュレーションを行い、必要に応じて太陽光発電システムの導入なども検討することが賢明です。
電気代節約のための使い方のコツ
オール電化住宅では、適切な使用方法とメンテナンスによって、さらなる電気代の節約が可能です。特に重要なのが、電気料金プランの選択と時間帯に応じた電気の使い方です。オール電化向けの料金プランは一般的なプランとは異なる特徴があり、これを理解して活用することが節約の鍵となります。
効果的な節約のためには、生活パターンに合わせた電気の使用時間帯の調整や、各設備の効率的な運用方法の理解が不可欠です。また、定期的なメンテナンスによって機器の効率を維持することも、長期的な節約につながります。
以下では、オール電化住宅での具体的な節約方法について、料金プランの活用から日々のメンテナンスまで、詳しく解説していきます。これらの方法を組み合わせることで、より効果的な電気代の削減が可能となります。
オール電化向け料金プランの活用
各電力会社では、オール電化住宅向けの特別な料金プランを用意しています。これらのプランは、時間帯別に電気料金が設定されており, 特に深夜の電力使用を優遇する内容となっています。
オール電化向け料金プランの主な特徴として、以下のような点が挙げられます。
- 深夜時間帯(23時~翌朝7時頃)の電気料金が大幅に割引
- 昼間の電気料金は通常より若干割高
- 休日の料金設定が平日と異なる場合もある
このプランを最大限活用するには、エコキュートによる深夜の湯沸かしや、食洗機・洗濯機などの家電の使用時間帯を深夜にシフトするなど、生活パターンの調整が重要です。また、季節や曜日によって料金が変動するプランもあるため、それらを考慮した電気の使用計画を立てることで、さらなる節約効果が期待できます。
時間帯別の上手な電気の使い方
オール電化住宅での電気の使用は、時間帯によって料金が大きく異なるため、使用時間帯を意識した生活パターンの確立が重要です。特に電力消費の大きな機器の使用時間帯を調整することで、大きな節約効果が得られます。
時間帯別の効率的な電気の使い方として、以下のような工夫が有効です。
- エコキュートの湯沸かしは深夜時間帯に設定
- 洗濯や食器洗いは深夜電力時間帯にタイマー予約
- 日中の調理は時間をまとめて効率的に
また、太陽光発電システムを導入している場合は、天候の良い日中に電力を多く使用し、夜間は必要最小限の使用に抑えるなど、発電状況に応じた使用パターンの調整も効果的です。季節による電力使用量の変動も考慮し、冷暖房の使用時間帯などもできるだけ電気料金の安い時間帯に合わせることで、さらなる節約が可能となります。
機器のメンテナンス方法
オール電化機器は定期的なメンテナンスによって、効率的な運転と長寿命化を実現できます。特にエコキュートとIHクッキングヒーターは、適切なメンテナンスが電気代の節約に直接影響します。
主な機器のメンテナンスポイントは以下の通りです。
- エコキュートの定期的な配管洗浄
- IHクッキングヒーターのトッププレート清掃
- 各機器のフィルター清掃
エコキュートの場合、配管内のスケール(水垢)の蓄積は熱効率の低下を招き、電気代の上昇につながります。また、IHクッキングヒーターは、トッププレートの汚れが熱伝導を妨げ、余分な電力消費の原因となります。これらの定期的なメンテナンスと清掃により、機器の性能を最大限に発揮させ、効率的な電力使用が可能となります。
オール電化の電気代って、どれくらいが平均?電気代を節約する方法は?など気になっていませんか。 結論から言うと、オール電化の電気代平均額は1か月あたり13,255円。うちもそんなもんだなと感じた方も、平均よりだいぶ高いなと […]
続きを読むこの記事を読んだ方は他にもこんな記事を読んでいます
-
オール電化のリフォーム費用・メリット完全ガイド!後悔しないための注意点も徹底解説
-
【2025年最新】オール電化向けおすすめ電力会社ランキング!エリア別に料金を比較。夜間の電気代が安いのは?
-
コスモでんきのオール電化プランを解説!口コミやメリット・デメリットを徹底解明
-
北海道・札幌でおすすめの電力会社ランキング!北海道電力より安い新電力を比較!一人暮らし向けプランも紹介
-
中部エリアでおすすめの安い電力会社比較ランキング!乗り換えるならどこ?一人暮らしで安い電力会社電力も紹介
-
TERASEL(テラセル)でんきの口コミと評判を徹底解説!4つのデメリットを紹介!
-
オール電化の電気代の平均は?高い電気代を節約するコツ!エコキュート・蓄熱暖房などの節約方法も
-
Looopでんきのオール電化は安い?「スマートタイムプラン」の内容を徹底解説。地域電力会社との料金比較も
-
電気の即日開通ができる安い電力会社はどこ?引っ越し当日でも間に合う!即日開通の方法を詳しく解説